意外と知られていない疑似科学のテクニック10選 解説編

最近、忙しいので更新が遅れました。申し訳ありません。

美味・芳醇な食べ物は毒物

こんな説変な理屈をこねくり回す前にうまさと発ガン率の相関を取ったり、2重盲検法で発がん性物質を添加したか否かで旨みが変わるかが判断できるか調べればすぐに決定できると思いますね。まあ、それが出来ないから冷静に考えると意味不明な説明でごまかすわけです。
味や匂いの好みも人それぞれだからある人が発ガン率が高いものを好むからといって他の多くの人もそうだということも出来ないでしょうし。

 では疑似科学のテクニックを解説します。

疑似科学のテクニック10選
1:科学的な装いをする。
2:検証が出来ない・難しい効果を謳う
3:政府・既存科学者の陰謀にする
4:大学・学会・著書などの権威を利用する
5:健康に害があると喧伝する、あるいは健康に良いと宣伝する
6:仮定を断定する
7:ある人の論文などの都合の良い部分だけ引用する
8:その説ひとつだけで多くのものに効果がある、解決できるとする
9:写真など視覚で違いが分かる物を利用する
10:倫理観など人間性などに訴える


以上10個。前回のエントリーと対比して詳しく説明します。

1:科学的な装いをする
 最重要ですね。科学っぽく見せないと擬似でもなんでもない単なるオカルトになってしまいます。前回、うまかったかどうかは別として最大限科学っぽくしようとしました。「液中化学物質定性装置舌」とか事実だし、それっぽく聞こえなくもないと思います。

 この手のものの具体例としてそれっぽい専門用語があると説得力が増やそうとするものがあります。マイナスイオンとか、マイナーですがニュートリノ励起原子ラジカルとか。用語があるだけで実態がない、あるいはどうでもいい用語だったりするのが常です。

 特になんですか、この「ニュートリノ励起原子ラジカル」って。「ニュートリノ」は粒子名、「励起」は量子状態がエネルギーの高い状態になること、「原子」は一個の原子核と一つまたは多数の電子で構成された粒子、「ラジカル」は電子スピンが偏っていてる化学種、だと思うのですが一緒になって訳分かりません。

2:検証が出来ない・難しい効果を謳う

 先ほども言いましたが、前回のエントリーはさっさと2重盲検法で対象発がん性物質を添加したかいなかの実験を行えば分からなくもないと思います。が、そんなことに同意する被験者がいるとも思えませんし、やるにしても天然発がん性物質を抽出するコストがかかるし実験の結果もだからどうしたと問いたくなるものです。非常に検証がしにくいです。

 よく疑似科学者が検証させないようにする手としては「企業秘密」で逃げることですね。基本的に科学者は十分な根拠なり理論背景なりを示さなきゃ事実として認めないのですが、認められない方法で行ったり根拠なしで強弁したりするのが手です。

 具体例を挙げると液体の水のクラスターの大きさを測るのに17ONMRの半値幅を使う、というものですか。私の知識が確かなら、半値幅なんてどれだけ測定するNMR機器がダメであるかでいくらでも大きくなりそうなものですが。

 簡単にNMRの説明をしますと、核スピンを持つ原子核に磁場掛けて核ゼーマン分裂を起こし、そのエネルギー差を電磁波(ラジオ波)を当てその吸収を見てそのピーク位置(ケミカルシフト)を見て化学物質を同定する方法です。基本的にゼーマン分裂は加えられている磁場に比例するので、測定領域内で磁場が変化すれば半値幅は大きくなります。原子核に加わる磁場も溶液の透磁率などで変わりうるため、実際のNMR機器はメインの超伝導磁石に加えて補助で溶液内の磁場が一定となるように(ピークを出来るだけ絞るように)液中磁場を調整します。要するには半値幅なんていい加減なものだということです。

3:政府・既存科学者の陰謀にする
 前回のエントリーでは農林水産省の利権のための陰謀にしてみました。何が有機かは確かに分かりませんが、政府批判などはよく疑似科学者が使う手です。

 具体的には相対性理論批判者や反化学物質系(むしろ反科学系か?)の市民団体などによく見られますね。GMO(遺伝子組み換え食物)反対派のイリーナ博士とその周辺の人は黒影氏が詳しく取り上げています。
 大体のものは知識不足や誤解に基づいて批判している人です。自然(なにそれ?)最高!!みたいな自然主義者なんて利便を捨ててリスクが高く効率の悪いものを選択しようとしている愚か者に見えてしまいます。農薬や放射線照射食品とか利点のほうが非常に大きいと思いますね。

4:大学・学会・著書などの権威を利用する
 3とは逆ですね。前回、松永和紀氏の著書『メディア・バイアス』を参照してみました。念のため言っておきますがこの本はトンデモではありませんよ。
 具体的には大学などの権威者としては先ほどのイリーナ博士とししゃ科も会の高尾征治氏(九州大学助手)がいますね。

 学会について、大にして言いたいことがあります。

 学会はいい加減なことを言う場です。

 よく学会は研究発表の場であると勘違いしている人がいますが、そんなことはありません。研究発表は査読付きの論文誌への投稿という形で行われます。学会は研究途中のアレなことを紹介してコメントを受けたりしてその研究がどうしたらうまくいくのかなどを人に聞く場です。他人の批判により洗練された研究にしようとする場です。
 そういった関係上、学会は事前の査読など行っていないことが多いです。学会発表それ自体に根拠はありません。ししゃ科もの人だってニュートリノ励起原子ラジカルを日本物理学会で発表しています。
 それと日本マイナスイオン応用学会みたいな存在そのものがトンデモな学会もあります。
 学会発表なんて話半分に聞きましょう。どうでも良いですけど、どこぞのテレビコメンテーターが「私の健康番組はスタッフが学会で聞いて回って調べているので間違ってはいません」みたいなことを言っていたそうですね。ははは。

5:健康に害があると喧伝する、あるいは健康に良いと宣伝する
 前回のエントリーでは発がん性を強調してみました。怖いですね、発がん性。
 具体的には浄水器の宣伝でもトリハロメタンやら塩素やらの害が強調されたりするそうですね。「血液がどろどろです」とかそういったこともあります。健康に良いとか検証しようがないですね。まずもって「健康」が定義しがたい。「恒常的に摂取することにより発ガン率が有意に下がる」食品とかないこともありませんが。
 ちなみに浄水器は塩素が除去されるため浄水器内部で細菌が繁殖し始めることがあるそうですから定期的に水道水なりで洗浄したほうが良いですよ。

6:仮定を断定する
 「美味しい・良い匂いがするというのは毒であるということです。」我ながらこんなあほなことをよくもまあ言い切れたものです。
 なんにでも言えることですがトンデモさんとかは断言する人が多いですね。印象ですが、科学者は断言をさけて「〜と考えられる」とか「〜だと思われる」とかそういう言い回しが多いような気がします。と自分でも断言避けていますね。

7:ある人の論文などの都合の良い部分だけ引用する
 前回のエントリーでは「メディア・バイアス」から引用してましたが、農薬未使用の天然農薬が多いキャベツをビタミン及びミネラルがあるからともりもり食べているエイムズ博士や、そもそも天然発がん性物質を多く含む有機農産物は不味いのではないかということを意図的に無視しています。
 具体例としては先述のイリーナ博士。黒影氏の指摘の通り、悪質なSchubbert氏の論文引用で自分が好む方向に結論を持っていこうとしています。(著者の意図明示しつつ論文引用して、その上で著者を批判するのはいいと思います。実際他人の論文にけちつけて、しかもそれでノーベル賞を取った人もいますし)

8:その説ひとつだけで多くのものに効果がある、解決できるとする
 農薬使用で飢餓者を多く救ったり天然農薬が少なくなったりするのは事実だとは思いますが、この手法は色々特典をつけてお得感を出す方法です。
 具体例はマイナスイオンの健康効果が上げられますね。あと、ニュートリノ励起原子ラジカルでメタミドホスの検出やら気孔の説明やらまでやってくださるとは思いませんでした。
 リンク先にあるのでついでに言っておきますが、ゼロポイントエネルギーが永久的に何もないところからエネルギーを取り出せるという意味のフリーエネルギーとして使えるのではないかと言う人いますが、取り出せないからゼロポイントエネルギーといいます。分子内の原子核はゼロ点振動しているわけですが、そこから原子核の運動エネルギーを取り出そうとしている人どこかにいませんかねえ。

9:写真など視覚で違いが分かる物を利用する
 前回ではできませんでしたが、よく使われる手法です。具体的にはピラミッドパワーやらなんとか還元水とかでものが腐ったり水が濁ったりしている写真とそうでない写真を対比させて表示させたりします。疑似科学でなくてもありますがグラフにしたりして比較したりする手法もこれです。
 他にもたとえば劣化ウランとかの健康被害を示すためにグロ画像を見せて煽る方法もあります。何かの病気を無理やり結びつけるために衝撃的な内容の画像を見せ思考停止に陥る手法です。この手の物質の汚染による健康被害は一例だけ挙げても意味がありません。疫学調査やらなにやらやって統計的に判断したり動物実験のデータなどと参照しないことには意味が無いと思います。
 

10:倫理観など道徳に訴える
 『人類は今こそ本能から開放され理性による統治を行う次なるステップへ進むべきです。』って頭に蛆沸いているんでしょうか、これ書いた人?
 自分が気持ちよく過ごすためには善行を働くに限ります。良いことをすると気持ちがいいものです。仮に、それが本当は損害を与える行為だとしても自分が善行と信じ行うと精神が安定します。たとえ批判が正しくとも善行を批判する人は悪の手先です。撲滅する対象です。
 とまあ、このように視野が狭い人間にならないように気をつけましょう。
 具体例を挙げますと、一昔前に流行って色々荒れた「水からの伝言」がそうでしょう。良い言葉を掛けると水が美しい結晶になるというあれです。水商売ウォッチングで言及されていますが、当然のことながら結晶状態と良い言葉と関係などありません。良いことだからと言って嘘を教えて言い分けないと思います。コレを道徳の授業に持ち込む人間は何を考えているんでしょう?
 ちなみに、水に限らず美しい結晶(大きく規則的な結晶)を得るときに重要なことはその物質の過飽和度です。過飽和度が低ければ低いほど結晶が大きく成長します。時間がかかりますが。過飽和度が高いと小さく汚い結晶になります。宝石の類はゆっくり冷えてマグマに対する溶解度が少しずつ下がって低い過飽和度となり大きな結晶になったものです。
 他の例を挙げると先ほどにも挙げた「イラクにおける劣化ウランによる健康被害」でしょうか。健康に害がないとは言いませんが、過剰に害を見積もって反放射能というイデオロギーに利用しようとしているようにしか見えません。何でも健康被害を劣化ウランに結び付けるのは本当の原因を見逃すことになりかねません。戦争が起こったときに使われる他の弾薬爆薬や石油が燃えたことによる汚染かもしれません。まずやるべきことはあらゆる化学物質汚染を確認する環境調査、それにプラスして浄水設備を整備だと思います。既に汚染されている人を調べるよりはそちらを優先したほうが良いと思います。


以上、解説してみました。
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